モンティ・パイソン(以下・パイソンズ)は 1969年に英国に現われたコメディ集団。 彼らの番組「Monty python's flying circus」は若手の作ったコメディとして 深夜枠でスタートしましたが、21世紀の現在においても特別な扱いを受けることになります。 ほとんど全てが「スケッチ」と呼ばれるショートコントを、 時にテリー・ギリアムのアニメーションでつないだオムニバス形式で30分番組になっており、 第1〜第4シリーズまで、全45回放映されました。
彼らは番組の開始に当たり、 「司会は要らない」「ゲストは呼ばない」「落ちをつけない」など、 いくつかのルールを作りましたが、中でも「タブーを作らない」というものは特筆すべきでしょう。 彼らは最大のタブーともいえる王室や政府、ゲイや動物愛護団体さえもネタにしたのです。 これがなければセックス・ピストルズも公共の放送で汚い四文字言葉を叫ぶこともできなかったことでしょう。
ちなみにこれらの規則のうち、 「〜流というような型にはまった行動をしない」は破られました。 新しく「Pythonic(モンティ・パイソンのような)」という言葉ができてしまったからです。 さらにちなみに「ゲストは呼ばない」も破られました。 リンゴ・スターはゲストとして出演したことがあります。 まあリンゴ自体ネタのようなものですが。
「Monty python's flying circus」は前述のルールにより起承転結が破壊されているため、 ひとことで言うと夢を見ているような感じを受けます。 常識をことごとく笑う世界なのです。 さらには地方ネタ(フランス・スコットランド・国内地方etc)や歴史ネタ、 当時の芸能界ネタなど、つまりイギリス人にとってのベタなネタが多いので、 知的と勘違いされやすいが、むしろ痴的といえ、 話のレベルの高低よりも着眼点の鋭さに驚きを覚えます。 ネタ一つ一つをとっても笑撃度は大きいのですが、 テリー・ギリアム独特のアニメーションとの融合により異様さがプラスされています。
ついでに、ほんの少しの英語・英文学・英国の知識があれば、笑える量が倍増するでしょう。
註:1969年は「水戸黄門」が放送開始されたり人類が月に到達したり寅さんシリーズ第1作「男はつらいよ」が封切られたりイロイロなことが起こった年である。
体が大きく、高圧的な軍人や役人の役を多くこなし、 チャック・ベリーのダックウォーク、マイケル・ジャクソンのムーンウォークと同じくらい有名な シリーウォークを得意としたジョン・クリース。 彼は第3シーズンの終了と共にパイソンズを去っていきましたが、 仲が悪くなったわけでもないようで、「ワンダとダイヤと優しい奴ら」 「危険な動物たち」ではマイケル・ペリンと共演しているし、 20周年企画でも生き生きとした姿を晒していました。 キレる役が多く、どこからどこまでが本気なのかわからない人です。
やはり体が大きく、自身がゲイであったこともあってゲイの役が多かったグレアム・チャップマン。 20周年企画では骨壷に入って登場していました。 「モンティ・パイソン人生狂騒曲」での妊婦に向かってのセリフ、 「まだそいつ(赤ん坊の性別)を決めるには早すぎる」はとても深い含蓄があり、 ゲイである彼が言っているのがなんともいえない。しかも元・医者。
この二人は論理的に笑わせるネタが得意でした。
素の顔が笑顔のエリック・アイドルは、 音楽と言語のネタが多かったです。ビートルズ公認のパクリバンド、 ラットルズを作ったのもこの人です。 ビートルズがアンソロジーを発売した時にもちゃんと似たようなのを発表していました。 後述の『Monty Python's Meaning of Life』においても、『Penis Song』など数曲を披露している。 ちなみに先頃ナイキのCMに使用された『Always look on the bright side of life』もカレの作曲です。
見た目が地味でいい人そうなマイケル・ペリンは 根っこからひねくれ曲がったような変質者的な役が多かったように思います。 まあ全員そうだともいえますが。現在は旅行番組なんかやっちゃったりしているらしいです。 ジョージ・ハリソンのお葬式でも見かけました。
ウェールズ人であるテリー・ジョーンズはおばさん役がはまっています。 この人が演じるようなおばさん、イギリスに本当にいます。 裸オルガンもこの人の芸です。 素顔は中世文学の権威らしく、チョーサーのカンタベリー物語について本も出しているそうです。
パイソンズ唯一のアメリカ人であるテリー・ギリアムは司会なし、落ちなしというメリハリがなくなってしまいそうな原則を夢幻的なアニメーションでつないだ点にその功が大きいでしょう。
現在はハリウッドで映画監督をしています。
代表作『未来世紀ブラジル』をはじめ、いろんな意味で夢のような映画を作る人です。
ちなみに他のパイソンズからの評価は「アメリカ人にしてはマシなやつ」。
以上6人のメンバーで構成されているパイソンズは、論理的な面、音楽的な面、(いろんな意味で)ビジュアル的な面と、笑いが多方面に渡って繰り広げられている点がそれまでの笑いと大きく異なる点であるといえます。
テレビ番組「MONTY PYTHON'S FLYING CIRCUS」 は第1シリーズから第4シリーズまで、45話。 「MONTY PYTHON LIVE AT THE HOLLYWOOD BAWL」ではパイソンズのライブも見ることができます。
映画作品は、3本。
「MONTY PYTHON AND THE HOLLY GRAIL」(1974年)
アーサー王と円卓の騎士の物語を題材にした映画。 3本の映画の中では最もスラップスティック。 テリー・ギリアム/テリー・ジョーンズの初監督作品でもある本作では、 パイソンズは英国人の誇りの源とも言えるアーサー王と円卓の騎士の物語とその騎士道精神をギャグにし、破壊する。
「MONTY PYTHON'S LIFE OF BRIAN」(1979年)
イエス・キリストと同じ日に生まれ、同じ日に処刑された運命の男・ブライアンの人生を描いた映画。 モロッコかどこかで撮影したらしい。本作でネタにされるのは西欧世界の精神のよりどころ、キリスト教。 もちろんキリストに対する冒涜と思った関係者から上映反対運動なども起こったが、 この映画の狙いはむしろ「人生をあるがまま受け入れるべき」というパイソンズ精神(そんなものがあれば、だが)の根幹をなすものなのである。
「MONTY PYTHON MEANING OF LIFE」(1983年)
人間の誕生から死までを様々なエピソードで綴り、 『人生の意味』をパイソンズ流に説いた映画。 前作のテーマを更に追求した本作では、 冒頭の魚の会話をかりてパイソンズから「人生は無意味である」との回答がでている。 G・チャップマンが亡くなったので、パイソンズ全員が揃った最後の作品でもあるが、 この映画を見る限り、チャップマンの生死に関係なく最後の作品となったであろう。
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